静電気放電 – 衝撃の事実が明らかに

先日、バーニッシュが油圧システムに与える悪影響についての記事をご紹介しました。
  
 ここでは、Sam Keating氏(Hydac Technology社フルードケア部門ラボ管理者)が、オイルやフィルターに静電気が帯電することで発生する静電気放電に注目しています。

 

静電気放電は物質間の電子の移動によって起こりますが、そのような移動が生じる理由はろ材とオイルの電子親和性を示す摩擦帯電列からわかります。

 

ろ材は通常グラスファイバーで、グラスファイバーは電子を提供してプラスに帯電しやすく、一方、オイルは電子を受け取りマイナスに帯電しやすくなっています。これらの物質が分離すると電圧が上昇し、3 kV/mm以上になると放電スパークが発生します。

 

  • Discharges in filter element

  • Discharge outside of the system

  • Discharges in a hydraulic tank

  • Discharge at a tooling machine

このスパークは、バーニッシュの形成に寄与するだけでなく、次のような問題を引き起こします。

 

  • フィルター層に穴を開けて、3μmのフィルターを実質的に200μmのフィルターに変えてしまうのです。

  • スパークの移動:フィルターに導電性を持たせることで静電気放電の対策になると考えられることが多いですが、これはただ単に、フィルター上にスパークが発生するのを防ぐだけです。電荷は蓄積され続け、タンクなどのより安全性が求められるエリアで放電されます。ここではオイルミストの蒸気が引火して、火災や爆発を引き起こす危険性があります。

  • 通常500 pS/m以上の高い導電性を持つオイルは、電子の流れ道が多いため、静電気放電しにくくなっています。これらのオイルは通常、グループ1の劣化した基油に属しており、その高い導電性は亜鉛などの重土類金属の存在によるものです。導電性の低いオイル(通常500pS/m以下)は、静電放電しやすく、このようなオイルは通常はグループ2と3のより精製された基油になります。

 

そのため、オイルの導電性の測定値は、静電気放電のリスクを判断する最初のパラメータとなります。さらなるリスク指標:

 

  • フィルターへの負荷:導電性が低い場合、フィルターへの負荷が0.1L・min-1cm-2以上になると、スパークが生じる可能性が著しく高まります。

  • 寒冷地 - 導電性は温度と正の相関があるため、寒冷地での試運転時の導電性は推奨値である500 pS/mよりもはるかに低くなる可能性があり、これは電荷の蓄積の原因となります。

  • オイルの状態 - この記事では主に酸化生成物について言及していますが、すでに説明したように、静電気放電はバーニッシュの形成の原因となります。したがって、バーニッシュの量が増えれば、静電気放電の可能性があるということになります。

  • 物理的な兆候 - 静電気放電が発生すると、スパークが発生していることを示す明確な兆候が見られることがあります。フィルターハウジングに近づけば、静電気放電を繰り返す音が聞こえるかもしれません。さらに、フィルターエレメント自体にも焼け焦げた跡があります。このプロセスは、使用済みフィルターエレメントの分析に豊富な経験を持つラボで簡単に行うことができます。

  • Burned filter element

  • Increased formation of oil degradation products (varnish)

  • Interference of electronic components

  • Burned breather filters

お客様のシステムに静電気放電のリスクがあると思われる場合には、フィルターに導電性を持たせることは、解決策にはなりませんのでご注意ください。相互作用のプロセスを根源で止めることが重要です。前もって電子の移動を止めてしまえば、電荷が蓄積されず、スパークのリスクが軽減されるからです。これは、フィルターエレメントHYDAC Stat-Free®や、極限状態でのHYDAC Stat-X®によって達成されます。
  
 当社のエンジニアは、油圧機器についての豊富な経験があり、お客様のシステムを安全に稼動させるために、フィルターエレメントをチェックし、問題を検出し、ソリューションを提供することができます。
  
 
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